●不動産を購入する際の税金はどれくらいあるのか?
不動産を購入するときには、さまざまな税金が関係してきます。住宅取得の資金計画の中でも税金は重要な問題のひとつで避けて通ることはできません。
・印紙税
不動産購入の際に必要な売買契約書や建築請負契約書には印紙税が必要です。
・登録免許税
不動産の登記に必要な税金です。登記には所有権の移転登記、所有権の保存登記、抵当権の設定登記などがあり、それぞれの登記に課税されます。
・不動産取得税
不動産の購入や家屋の新築、増改築などには不動産取得税が課税されます。例えば、贈与による取得に対しても課税されます。
・消費税
売主が課税事業者である場合、建物部分については5%の消費税が課税されます。また、不動産購入時の諸費用にも課税されることがあります。(ローンなどの事務手数料、仲介手数料等)。ただし、土地の取引については非課税です。
●不動産を所有している時の税金は?
不動産を所有しますと、毎年「固定資産税」が必要です。また、その不動産が都市計画区域内の条例で定められた地域内にある場合は「都市計画税」がかかります。
固定資産税
1.納税義務者
毎年1月1日現在で各市町村に備えつけられた固定資産課税台帳に、その土地、家屋の所有者として登録されている人に課税されます。
2.課税資産
土地(田、畑、宅地など)、家屋(住宅、店舗、工場など)、償却資産(事業用の資産など)に対して課税されます。
3.課税標準額(固定資産税の計算の基礎となる価額)
固定資産税評価額は実際の売買価格ではなく、固定資産課税台帳に登録された価格によって計算しますので、実際の売買価格より低くなっています。
4.計算方法
課税標準額×税率(通常は1.4%)=税額
●住宅ローン控除とは?
住宅借入金等を有する場合の所得税額の特別控除は、適用期限が平成29年12月31日まで4年延長され、平成26年から平成29年までの間に居住の用に供した場合について、次のとおり拡充されました。
住宅ローン控除とは、持家取得を促進するための制度です。個人が金融機関などから借入をして、住宅を新築・増改築したり、新築住宅や中古住宅を購入したときに(取得した土地も含む)、その借入額をもとに計算した一定額を所得税額から控除するものです。税制改革でこの住宅ローン控除の特例制度は大幅に拡充されました。
住宅を取得してから6ヶ月以内に入居して控除を受ける年の12月31日まで居住する事。
(1)控除対象期間が10年間(ローン返済期間10年以上)
(2)年末融資残高が最高5,000万円
(3)住宅敷地の借入金も控除の対象となる
(4)住宅の床面積要件の上限が撤廃(下限は床面積が50u以上
一般住宅
入居時期 |
借り入れ残高
(万円) |
控除期間 |
借り入れに対する控除の割合(%) |
最大控除額
(万円) |
 |
26年3月まで |
2000万まで |
10年 |
1% |
200万 |
26年4月以降 |
4000万まで |
10年 |
1% |
400万 |
優良住宅
入居時期 |
借り入れ残高
(万円) |
控除期間 |
借り入れに対する控除の割合(%) |
最大控除額
(万円) |
 |
26年3月まで |
3000万まで |
10年 |
1% |
300万 |
26年4月以降 |
5000万まで |
10年 |
1% |
500万 |
(注)納めた所得税額以上の金額が戻ってくるわけではないので実際の控除額はケースによって異なります。
●住宅ローン控除の手続きとは?
住宅ローン控除の適用を受けるには、住宅に入居した翌年の3月15日までに所得税の確定申告書に以下の書類を添付して、住所地を所轄する税務署に申告する必要がります。給与所得者の場合、2年目からは給与所得者用の住宅ローン控除の申告書、年末調整のための住宅ローン控除の証明書、住宅取得資金に係る借入金の年末残高等証明証を給与支払者に提出すれば、年末調整で控除が受けられます。
住宅を取得した場合
(1)建物登記簿謄本、もしくは抄本(登記事項証明書)
(2)売買契約書など家屋の取得年月日、取得価格、床面積を証明する書類、もしくはその写し
(3)住民票の写し
(4)金融機関などからの年末残高等証明書
●住宅ローン控除の手続きとは?住民税の減税措置
平成26年分以後の所得税において、その年分の住宅借入金等特別税額控除額のうちその年分の所得税額から控除した残額がある場合には、その残額は、翌年度分の個人住民税において、次の控除限度額の範囲内で減額されます。
居住年 |
控除限度額 |
平成26年1月〜3月 |
所得税の課税総所得金額等×5%(最高9.75万円) |
平成26年4月〜平成29年12月 |
所得税の課税総所得金額等×7%(最高13.65万円) |
※ |
平成26年4月から平成29年12月までの欄の金額は、住宅の対価の額又は費用の額に含まれる消費税等の税率が8%又は10%である場合(東日本大震災の被災者等に係る住宅借入金等を有する場合を含む。)の金額であり、それ以外の場合における控除限度額は所得税の課税総所得金額等×5%(最高9.75万円)です。 |
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●住宅ローン控除の手続きとは?固定資産税の減税措置
固定資産税及び都市計画税について、耐震改修等を行った住宅に係る減税措置、サービス付高齢者向け賃貸住宅に係る減税措置等が行われました。
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●住宅ローン控除の手続きとは?その他
・ |
所得税及び法人税における特定土地区画整理事業等のために土地等を譲渡した場合の2,000万円特別控除について、その適用対象である都市緑地法に規定する特別緑地保全地区内の土地が同法の規定により買い取られる場合における買取りをする者の範囲に、同法の緑地管理機構とみなされる都市の低炭素化の促進に関する法律に規定する特定緑地管理機構で一定のものが加えられました。 |
・ |
所得税及び法人税における優良住宅地の造成等のために土地等を譲渡した場合の課税の特例について、その対象となる特定の民間再開発事業及び既成市街地等内にある土地等の中高層耐火建築物等の建設のための買換え等の場合の譲渡所得の課税の特例等の対象となる特定民間再開発事業の施行区域に、都市の低炭素化の促進に関する法律に規定する認定集約都市開発事業のうち当該認定集約都市開発事業が施行される区域の面積が2,000u以上である等一定の要件を満たすものの当該区域が加えられました(平成25年6月1日以後に行う土地等の譲渡について適用)。 |
・ |
不動産の譲渡に関する契約書等に係る印紙税の税率の特例措置について、その適用期限を5年延長した上、平成26年4月1日以後に作成される文書に係る税率が引き下げられました。 |
・ |
サービス付き高齢者向け賃貸住宅の割増償却制度及び特定再開発建築物等の割増償却制度が、一部縮小して延長されました。 |
・ |
不動産の保存登記等に係る登録免許税についての軽減措置が2年(平成27年3月31日まで)延長されました。 |
・ |
不動産取得税の軽減措置が2年(平成27年3月31日まで)延長されました。 |
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●所得税から住宅ローン控除額を引ききれなかった場合
所得税で控除しきれない残額について、それに相当する分の個人住民税(翌年度分)を減額できるようになりました。ただし、これは年額で97,500円が上限となります。
●新築住宅における税金の軽減の軽減措置は?
住宅を新築した場合や、まだ人が住んだことがない建売住宅・マンションなどを購入した場合、以下の要件を満たすものであれば固定資産税評価額から1,200万円を控除できます。住宅用建物の税率は3%に軽減されています。
適用の要件
床面積が50m2以上(戸建以外の貸家住宅は40m2以上)240m2以下であること。マンションなどの場合は、共有部分の床面積を専有部分の床面積の割合で按分して、専有部分に加算します。
●マイホーム売却の際には3,000万円の控除が受けられる?
自分が住んでいるマイホーム(居住用財産)を売った場合、その保有期間の長短にかかわらず、一定の要件を満たせば、その譲渡益から3,000万円の特別控除ができます。
居住用財産の譲渡益−特別控除(3,000万円)=課税譲渡所得
適用の要件
居住用の譲渡であること。
(1)現に居住している家屋またはその家屋と敷地(その家屋が二つ以上あるときは、主として居住している家屋を適用、借地権も含む)であること。
(2)定められた条件を満たし、その家屋に居住しなくなってから3年を経過した年の年末までに譲渡したもの。
(3)譲渡相手が親族や内縁関係者などではないこと。
(4)前年または前々年に、この3,000万円特別控除を受けていないこと。
(5)本年、前年、前々年に居住用財産の買換え特例を受けていないこと。
(6)所得税の確定申告をすること。
●贈与税について
贈与税の課税制度には、「暦年課税」と「相続時精算課税」の2つがあり、一定の要件に該当する場合には、相続時精算課税を選択することができます。この制度は、贈与時に贈与財産に対する贈与税を納め、その贈与者が亡くなった時にその贈与財産の贈与時の価額と相続財産の価額とを合計した金額を基に計算した相続税額から、既に納めたその贈与税相当額を控除することにより贈与税・相続税を通じた納税を行うものです。
●住宅取得のための金銭贈与にかかる贈与税の時限的経過措置
直系尊属(父母、祖父母等)からの住宅取得資金についての贈与に対して一定の要件(注1)を満たす場合、非課税になる措置が創設されました。
贈与の期間 |
一般住宅 |
震災被災者 |
平成24年中 |
1000万円 |
1000万円 |
平成25年中 |
700万円 |
1000万円 |
平成26年中 |
500万円 |
1000万円 |
※省エネ性・耐震性を備えた住宅については上記金額に500万円が加算されます。
(注1)贈与を受けた人(受贈者)の主な要件
(1)贈与を受けた年の1月1日時点で20歳以上
(2)贈与者の直径卑族(子、孫など)であること
(3)もらった全額を住宅の新築や一定の増改築に充て、
その家屋に住むこと(もらった年の翌年の3月15日までに)
(注2)所得制限とは
この制度を利用するには贈与を受けた年の受贈者の合計所得金額が
2000万円以下の場合にに限られる。
●相続時精算課税制度とは
「相続時精算課税制度」とは贈与税と相続税を一体化することで生前贈与の税負担を軽くする目的で導入されたものです。親から20歳以上の子への贈与は通算2500万円が非課税となりました。
また住宅資金の贈与は文字通り「住宅」の贈与でなく、住宅を建てるため、購入するため、改築するため等の「資金」すなわちお金の贈与です。
●非課税枠・特別控除枠の整理
ここで、住宅取得資金の援助をするときに活用できる非課税枠・特別控除枠を整理すると以下の通りになります。
質問1 2500万円までの贈与は父からも母からもそれぞれ受けられるのですか?
答え1 父と母双方から受けることが出来ますので贈与時には非課税で多額の資金援助(二人合算で5000万円)が可能になる一方、一度制度を利用するとその後の贈与はすべてについて相続時精算課税制度を利用しなくてなならないため、この制度を利用した親からの以後の贈与に関しては、暦年課税制度の基礎控除110万円が使えなくなることには注意してください。
質問2 この住宅取得資金の特例を使うことができるための、住宅の要件はどうなっているのでしょうか?
答え2 新築又は築後経過年数が20年以内(耐火は25年以内)の家屋で床面積が50u以上であることです。すなわち新築でも中古でも良いということです。
質問3 この特例は増築や改築には使えないのですか?
答え3 使えます。増築、改築、大規模の修繕、大規模の模様替え等の工事費用が100万円以上で、改築後の床面積が50u以上であれば適用になります。
質問4 では「相続時精算課税」の特例を利用する場合はどのような手続きをすればよいのですか?
答え4 贈与される人(子)は、最初に贈与を受けた年の翌年2月1日から3月15日までの間に所轄税務署長に対して、選択した旨の届出を贈与税の申告書に添付することになります。
尚、ここでも気をつけなければいけないことは、この非課税枠はあくまでも贈与税に関しての話だということです。相続時には贈与された財産も相続財産のひとつとして計算されますので,「全く税金がかからない」というわけではありません。
質問5 相続時精算課税で、気をつけないといけないことはありますか?
答え5 相続税精算課税制度では相続財産に加算しなければなりません。贈与時は非課税だが、相続時には課税という事が出てきます。贈与時より相続時に評価額が下がった人においては、贈与したために相続税が増え、不利になることがあります。
また、相続税精算課税制度は贈与できる人は親に限られています(祖父母はできません)。
上記内容は個々の条件等及び変更される場合があります。詳細は地域の税務署等で確認下さい。
おわりに
平成25年度における住宅税制の改正は、消費税の税率が8%又は10%となる場合を想定したものです。
したがって、工事の請負等に関する経過措置によって、住宅の対価等について5%の税率が適用される場合には、平成26年4月以後の居住であっても、控除限度額は従来の金額となります。
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